Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

新宿梁山泊「風のほこり」芝居砦満点星篇



先月撮影した新宿梁山泊「風のほこり」芝居砦満点星篇の舞台空間をパノラマVRでまとめました。


まとめに関してはこちら

さて、今回は関連する話をいくつか・・・
まず、前回記事の早稲田の演劇博物館の企画展
「広場をつくる・広場を動かす~日本の仮設劇場の半世紀~展」ですが、非常に内容の濃く熱い展示になっていますので、気になる方は是非ご覧いただければと思います。展示物の情報量も多く、たとえば、演劇センター68/71(黒テント)の記録映像が40分、水族館劇場のダイジェストが30分ほどあり、それだけでもちょっと見入ってしまうので、時間には余裕をもっていただければとおもいます。ちなみにぼくはパノラマを一周3分で自動回転させた動画を3分×6本、計18分と、写真を5点ほど提供しています。
ただし、ちょっと注意していただきたいのは、演博は2月は休館中で3月1日から再開します。行くときはスケジュールや時間をご確認ください。通常17:00までですが、火金は19:00までです。

先日、この展示関連イベント、演劇批評家の西堂行人さんと建築家の大塚聡さんの対談、において西堂さんは、この展示に関して2つの画期的な視点、一つ目は、紅テント、黒テントがとかくメインストリームととらえられがちだが、その一方で曲馬館という「最もアナーキーな旅芝居集団」にも視点を与えているということ。もうひとつは、関西の劇団、
維新派劇団犯罪友の会などを取り上げ、関東、関西の違いで仮設・移動演劇を考える視点を与えているということ、この二つがこの展示において画期的であった、発言されていました。

ぼくが大学で劇場を研究テーマとするゼミに参加していた1983年から85年頃はあちこちで仮設、野外の演劇が多く行われていて、黒テント、キャッツ・シアターなどをテーマとした卒業論文がありました。ただ、関西の維新派を見た最初の公演「少年街」が1991年ですから80年代の中頃はまだ関西から劇団がやってきて仮設劇場で公演するということはあまり無かったように思います。自分がよく見ていた85年ころはエキサイティングだったことあるし、あるいは維新派のようにすでにあったのに自分が体験していなかった部分もあって、仮設・移動・野外演劇を網羅的、横断的に考えることはなかったのですが、今になってそれが捉え直されようとしていることはちょっと興味深いです。

前述の対談の西堂さんの発言に、演劇は進歩や進化という捉え方ではなく螺旋的に性質を変えながら変化するようなもの、という発言があるのですが、展示の中に坪内逍遥が書いた劇場形式の概念図があって、それがすでに現在の劇場計画の考え方を示しているのを見ても、本質的な意味で進化するものではないのだなという気がします。

さて、演博は現在休館中ですが、演博の展示で写真を展示されている写真家の西村多美子さんの展示を
吉祥寺シアターカフェでもやっています。1968年頃、つまり初期の状況劇場を撮影したものです。当時の状況に興味のある方はもちろん、写真そのものも非常に力のあるものなのでこちらの方もごらんください。ちなみに今回の芝居砦満点星のロビーに展示されてているものがその写真です。こちらは公演が終わったので見られませんが。また、この写真は最近「実存 1968-69状況劇場」という写真集としても刊行されています。

blog comments powered by Disqus