Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

早稲田大学文学部校舎の見学会



 先週土曜日(7/28)に、早稲田大学文学部の校舎が取り壊されるということで、その見学会に参加してきました。

 建築家、村野藤吾が設計した建物で1962年に建てられたとのことですから、築45年ということでしょうか。取り壊し決定の詳細な経緯は知らないのですが、耐震的には弱そうですし、仮に補強するにしても1階のピロティの良さがかなり失われることになることが予想できるので、取り壊しはやむを得ないことなのかもしれません。ただ、取り壊しが残念なのはいうまでもないことなのですが、説明してくれた先生の話を聞いていると、この取り壊しに際して、保存や記録といったことが、どうも十分に検討されていないようで、あるいは検討されているけれども、その内容が十分に公開されていないことなのか、その先生はすこし不満を感じているようでした。ちなみにブログ検索してみたら、その数の少なさにびっくりしてしまいました。
 築45年の歴史はそんな軽いものではないはずですし、村野藤吾が文化芸術を担う人材が育つ場所として、心をこめて設計したであろう建築を取り壊すわけですから、その刻んだ歴史や人々の記憶、建築家の構想したことについて、たとえかたちは変わるとしても、貴重な情報や資産を残すということを真剣に考える必要があるように思います。


 今回公開するQuickTimeVRは、主として地上で撮影したものです。建物下部を列柱で支えるピロティとして中庭を取り囲んでいたり、スロープと階段と吹抜けにかかるブリッジを組み合わせてデザインしていたり、あちこちに彫刻などを配置したりして、全体的には単純な配置計画なのに豊かな光景を創出しています。同時期に建てられた日生劇場の華やかさに比べると、一見地味な印象かもしれませんが、あちこちに細やかなデザインがされていて、みるべきところはたくさんあると思います。
 ほかにもいくつか撮影していますが、残りはまた後日ということで。


早稲田大学文学部校舎をQuickTimeVR(360度のパノラマ写真)で見る
その1 中庭昼景
その2 中庭夜景
その3 陶彫のある庭
その4 ピロティにかかるブリッジ
その5 スロープ、大階段、ブリッジ、ピロティ






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