Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

「青ひげ公の城」青蛾館



宇野亜喜良さんの美術による青蛾館「青ひげ公の城」をパノラマVRで紹介します。
宇野さんの舞台美術の撮影は「宇田川心中」紫テント、「小鷹狩鞠子の七つの大罪」芝居砦満点星に続いてこれで三度目。そして今回は座高円寺1。テントや満点星の親密さと比べると空間のサイズが大きく、また、新しい建築で洗練された劇場空間をどのように使うかに興味がありました。基本的には中央の聖壇?が固定され、それ以外は小道具と照明やプロジェクタの効果でシーンを演出するものでしたが、宇田川の髑髏の絵にも感じたことですが、背景の絵、いわゆる書割の存在感を非常に強く感じました。書割という美術には何となくチープな印象を持っていたのですが、書き割りを侮ってはいけないなと。書割にこれほどの威力があるなら、歌舞伎の書割を宇野さんが書いたらどうだろうかと想像してしまいました。

空間に対する興味とは別にもうひとつ。劇中で引用されている岸田理生について、「糸地獄」という芝居で非常に強いショックを受けた記憶があるので、今回どのように使われているのかも気になっていました。岸田理生の、同じセリフを複数の役者が立ち位置や強弱を変化させながら繰り返し発声する手法、呪文やお経や音楽のアンサンブルのようでもある言葉、妙に女性の血のイメージを感じさせる言葉の数々、それが寺山の見世物芝居やメタな構造と合わさるとどうなるのか、そんなことを期待していました。結果的には強い言葉とそのアンサンブルという雰囲気はあまり感じられなくて、その点はちょっと不満が残りました。稽古して練上げていく劇団の強さみたいなものがないと難しいのかもしれません。

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