Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

新宿梁山泊 第44回公演
「風のほこり」芝居砦・満点星篇
作:唐十郎 演出:金 守珍
2011年1月21日〜30日



下の写真をクリックするとパノラマVR(FlashVR)が開き、
画面上でクリックドラッグして見回すことが出来ます。




芝居砦満点星のロビー。正面ガラスケースの中に唐十郎直筆「風のほこり」のノート。罫線のないノートに万年筆を使って小さな字でびっしりと書かれている。修正部分がまったくないとのこと。



いつも壁面は過去の演目のポスターが飾られているが、今回は写真家、西村多美子氏による昔の状況劇場の頃の写真を展示している。西村氏は現在、早稲田の演劇博物館の企画展「広場を作る・広場を動かす」、吉祥寺シアターカフェでも写真を展示中。



芝居小屋の舞台下、奈落と呼ばれる空間がこの芝居の舞台である。行き場のない水が溜まっている。間口に対して奥行きが深い空間のためもあるが、舞台を正面ではなく舞台袖からのぞき見るような感じになっている。窮屈な空間だが、螺旋階段がその上部、つまり舞台に接続していて空間に奥行きを与えている。この劇場そのものも大きな建物の地下にあるため、まるでこの演目のために用意されたかのような雰囲気になっている。



この人形とカバンに収納された義眼の小道具はインパクトがあった。人形は劇中、微妙に向きを変え表情を変える。陳腐な言い方だけど魂が入っている感じとでも言うような。義眼のケース、実際の芝居では観客側を向いているわけだが、今回は撮影のためにカメラ目線になっている。結果的に客席の白い座布団マットも目玉の一部のようにも見えている。



この螺旋階段はスチールの板材を溶接して作られていて造形としても非常に美しい。もともとこの芝居用に作られたものではなく、ある鉄工所が作例としてつくったものを展示しているのを見て借りてきたらしい。この階段を設置している上部の床は、構造上支障がないことを確認の上、この芝居のために一部取り壊された。この芝居は唐十郎が梁山泊のために書き下ろした作品で、物語も小劇団が舞台になっていることもあり、演出の金守珍のこの芝居にかける意気込みや思い入れを強く感じる。この芝居、この場所で毎年恒例にするとのこと。楽しみなことである。


〈キャスト〉

十貫寺梅軒、田村泰二郎、渡会久美子、広島光、
三浦伸子、染野弘考、小林由尚、水嶋カンナ、鳥山昌克(唐組)

〈スタッフ〉

照明:泉次雄+ライズ / 装置:大塚聡 / 劇中歌作曲:大貫誉
音響:N-TONE / 殺陣:佐藤正行 / 振付:大川妙子
宣伝美術:宇野亜喜良、福田真一 / 制作:新宿梁山泊事務所 
協力:唐組/大塚聡アトリエ/双葉鋼業/ 暁設計/()ライズ
武人会/アルファエージェンシー/大須賀博

撮影:1月27日