Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

大隈講堂

okuma_blog

早稲田建築の合同クラス会(同窓会)116日に開催され無事に終了いたしました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。また残念ながら参加できなかった方は、サイトのほうに当日の写真や展示の様子が公開されていますので、そちらをご覧いただければと思います。

早稲田建築合同クラス会のサイト


さて、この同窓会では最近の早稲田キャンパスの変わり具合をパノラマで紹介いたしました。大隈講堂の改修、村野藤吾設計による文学部校舎の取り壊し、理工学部校舎の耐震改修など早稲田建築の出身者にとっては気になる話題をパノラマで提供しました。前回は理工を紹介しましたが、今回は大隈講堂を紹介します。


大隈講堂パノラマまとめ


多目的利用に対応することで、改修時にオリジナルのデザインが損なわれる心配もありましたが、実際には極力オリジナルの形を維持する、あるいはもとに戻す、という方向で改修されたようです。

大隈講堂には2つの大きな特徴があって、一つは客席上部の円形トップライト、もう一つは舞台上のクッペルホリゾントと呼ばれる曲面形状のホリゾントです。

トップライト部分は多目的ホールであればシーリングライトを設置したい場所ですが、これは多目的ホールではなく講堂だからできたかなり思い切った設計だと言えます。このトップライトのおかげで、昼間は明るく開かれた雰囲気を醸し出していると言えるでしょう。ちなみにトップライト周囲の十字型の開口部を通して照明を当てるようになっています。

クッペルホリゾントは、平面的には円弧状のカーブで、断面的にも上方にいくに従い覆いかぶさってくるような、ドームの一部を切り取ったような形状のホリゾントです。ちょうど詳細を説明しているサイトがあるのでリンクを貼っておきます。

クッペルホリゾントについて


舞台袖、舞台上部は照明や幕類、道具などを設置したい場所ですが、それを最小限にして壁と天井を舞台へ連続させ、ワンルームのような雰囲気にし、舞台上にクッペルホリゾントによる一種の仮想空間を生み出しています。客席のトップライトと舞台の仮想空間はセットでイメージされたのではないかと想像できます。

この2つの特徴を両方併せ持つホール空間は自分の知る限り例がなく、もしかしたら世界でも唯一無二のホール空間かもしれません。


blog comments powered by Disqus