Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

茅野市民館見学会の感想について

建築家の難波和彦氏が11月6日のHPの日記で、茅野市民館の見学会での感想を書いてくれました。
今日はそれについて、いくつか書こうと思います。

詳細はそちらを読んでもらうとして、主なポイントはシークエンス、素材感、スロープの日射について、でした。
シークエンスについては、駅からスロープて始まるシークエンスのレストランでの終わり方が少し唐突だと感じたということ。じつは東のメインエントランスがちょっとわかりにくいという指摘がほかの人からもあったのですが、それと同様の感想だと思われます。
設計当初、東の出入り口はロビーから今の美術館の部分をまっすぐ通り抜ける位置にするスタディをしていたのですが、美術館で必要とされるボリュームがうまく納まりきらず、また、この部分で2階への階段、東への出入口、美術館の入口のデザインをうまく処理できず、結局方針転換をしたのでありました。ですから当初、東口について、ロビー〜東口〜広場〜街への連続性を意識していたのですが、現在の位置にする時点でそうしたシークエンスの連続性のかわりに、東口では人の気持ち、気分を切換える装置的な空間を意識するようになったわけです。ただし、入口の位置はシフトしたものの、市民ギャラリーの外壁はガラスとしてロビーから市民ギャラリーを介して東側への連続性を意図してはいるのですが、見学会のときは美術展のためにガラスの外壁をすべて可動の展示壁でふさいでしまったので、よけいに指摘されたような唐突感があったと思います。

素材感については、仕上げがややきれいすぎるのでは、素材の種類が多いのでオブジェ性のある空間となっている、との指摘を受けました。きれいすぎるというコメントについては、どうこたえたらいいのでしょうか(笑)。グラフィックなパターンをあちこち使っているので、よけいそういうフラットな印象を与えたかもしれないとは思うのですが。なかなかむずかしいテーマです。素材の種類が多いことによるオブジェ性については、施設全体のデザインのルールは緩やかに持ちつつ、均質なデザインを目指すというよりはその場に合わせたデザインをしたので指摘されたとおりですね。これはともすると、統一感のない無秩序なことになりかねないし、現場での仕上げや納まりの検討も、そうはならないようにかなり議論、検討した結果ですがうまくいったでしょうか。
見学の感想として、写真で見るよりも実物の方が良い、ということをいくつか聞きひそかに喜んでいるのてすが、これは写真で切り取られたシーンを断片的に見た印象と実際の空間体験との間に大きな違いがあるからなのでしょうね。

さて、最後にスロープの日射について、です。
設計時には日射のシミュレーションをして、マリオンのルーバー効果があるので、紫外線防止フィルムだけでいけるかと判断したのですが、ちょっと甘かったかもしれません。今年の夏の様子はだいたいわかったので、それをふまえてスクリーン的なものを現在検討中です。

おまけとして東口ロビー部分のQuicTimeVRムービーです。
インタラクティブムービーならではの良さを感じていただけたらと思います。
いずれフルスクリーン版を別のページにアップする予定ですが、まずは小さいサイズ(312KB)で。

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