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広場をつくる・広場を動かす~日本の仮設劇場の半世紀~展




早稲田大学の演劇博物館の企画展「広場をつくる・広場を動かす~日本の仮設劇場の半世紀~展」に写真、動画を数点提供しました。

手持ちの資料で見ると、状況劇場の街頭劇「ミシンとこうもり傘の別離」1965年、最初のテント公演「腰巻お仙-義理人情いろはにほへと篇」新宿花園神社1967年とあります。この時代から現在までの野外仮設劇場での演劇の歴史を写真、動画、ポスターなどで紹介する展示になっています。

提供したものは、劇団唐組の紅テント、新宿梁山泊の紫テント、劇団唐ゼミ☆の青テントの内観、外観の360度パノラマ写真とパノラマを動画にしたもので、以前に「小劇場を記録するvol.1」という写真展をしたときの写真と、その後撮影されたものの中から選んでいます。選ぶ過程でお蔵入りしていたものが発掘されたり新たに再調整したもののうち、展示では選ばなかったものなど、3点紹介します。

写真をクリックするとパノラマVRが開きます。



劇団唐組「眠りオルゴール」井の頭公園2007のときの外観。すでに公開しているものとはちょっとポジションが違います。公開したときは内外をセンターラインで撮影した一種の組み写真としたので、テントを斜めから見たこの写真はお蔵入りしていました。本当はこちらのほうが正面から見た写真よりテントの形はわかりやすいはずなのですが、残念ながら強い照明のためにわかりにくくなっていたり、照明による自分の影がちょっと気になったことなどがボツの理由です。三脚や自分の影のような撮影者の痕跡を残したり消したりするのはケースバイケースで、ぼく自身は絶対消去しないといけないというほど強いこだわりはないのですが、痕跡を残したり何かでふさいだ時点で何らかの意味が生じてしまうので、何かと考えさせられる部分ではあります。



新宿梁山泊「ベンガルの虎」井の頭公園2009。展示では舞台後方が閉じている状態のものをセレクトしています。実際の後方が開くエンディングの借景シーンでは、左右の装置は片付けられ、床の緑色の池の部分も床板がさらに開いて広がります。広がった池には左右から大量の水が放射され、その中にショベルが入れられ主人公はそのショベルに乗って後方へ去っていくという演出でした。



劇団唐ゼミ☆「下谷万年町物語」浅草花やしき裏駐車場2010年。前回のエントリで取り上げましたが、このパノラマはまとめのページにあるものとはポジションがやや違います。まとめの方では、ちゃぶ台を前に座ったときのポジションで撮影したものですが、こちらは舞台端で立ったときの位置です。こちらのほうが引いている分、俯瞰的で分かりやすいのですが、座ったときに見える景色、つまり役者の視線、のほうが臨場感があるのでまとめではそちらをセレクトしています。上手の書割の裏面が見えてしまうので、ちょっと迷うところですが。

建築写真では構図が厳密に決定されますが、パノラマVRでも構図や撮影位置は重要で、回しながらファインダーで確認するようにしています。対角魚眼なので違和感はありますが、少なくとも見える見えないは確認できます。それでもステッチしてみて初めて「こういう絵だったのか」とわかることがあるので、面白いというか情けないというか(苦笑)



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