Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

パノラマとスチル



 被写体あるいは表現の意図によってはパノラマ向きだったりスチル向きだったり、モニタだけでなくプリントで見せたいこともあるし、状況に応じてどちらかあるいは両方撮影出来ればいいのだけどこれがなかなか手間がかかるので大変だったりして。とりあえず360度分のパノラマを撮っておけばスチルとして部分的に出力することは出来るけど解像度の点や、出力時に画角調整できるとは言ってもあんまり広角にすると端部が流れてしまうので、やはりスチルなら出来るだけ引いて、せっかくだからタイリングして高解像度化したいという欲もあったり、スチルのためのレンズは何がいいかとか、何かと悩ましい今日この頃である。
 一方で、被写体や方法(VRパノラマかスチルか)に関係なく質の高いものを作りたいと考えると、大事なのはやはり写真術ではないかと考えさせられたり、道具の性能限界を探ったりその進歩も確認しないといけないし、さらに悩みはつきないのだけど、あれこれ悩んでいても、結局は対象への思いの深さや批評性といったところがモノをいうのではないかと思ったり制作しながらあれこれ考えるものの、けっきょく現場で必要のは判断の瞬発力なんだよな・・・

 今回のVRはそう言う意味ではパノラマ向きかもしれない。狭い空間は部分的なスチルでは空間的なことがわかりにくいけど視線の方向を変えることができるパノラマだとシークエンスや、その節点の様子をスチルより確認しやすいと思う。立ち位置を一歩でも変えると見える景色が変わるので、パノラマとてバーチャルにおいて万能ではないのだけど、今のところ立ち位置(撮影位置)の選択がその作家の個性につながっているように感じられることもあるし、そこらへんがパノラマの面白いところでもある。

VR現場日記2007年12月11日
階段と回廊の接続部
1階回廊
地下エントランスから1階への階段

 礼拝堂のパイプオルガンが来年の工事なので何となくまだ終わった感じがしないのですが、建築工事としては若干の手直し等があるものの引き渡しも済んでいるので、今後の写真やVRは現場日記ではなくて完成写真ということになります。ただし竣工写真については信頼できる写真家に依頼しているので自分のは気軽に撮るつもり。今回のは日が暮れてしまってガラスに三脚が写り込んでしまったので次回明るい時間帯にまた撮る予定。

 

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