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水族館劇場をパノラマで見る

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水族館劇場の舞台空間を初めて見て感じたのは、タルコフスキーの映画に通じる空間の美しさを追求する美学のようなものでした。そこに役者がいなくても美しく強烈な存在感。劇団結成25年で培われた建設技術の裏付けと強い美意識がそのような存在感を生んでいるものと思います。また、そのような美学がサイトやチラシ、ポスターにも反映されていてデザイン的に洗練されたイメージをつくっています。

一方で、芝居の方はというと、公演初日は芝居の骨格は力強いものの完成度はやや低く、そこから毎日セリフも道具も役者までも変わりながら、まるで助走しながら楽日のクライマックスを目指すようなものでした。完成させることを目指すというよりは、たえずより良いものを目指して変化し続けたいと考えることもできます。そのようなことをしても下手な芝居にならないのは、役者の魅力と空間の強さ、美学を追究する姿勢によるものでしょうし、こうした野外仮設物での大掛かりな公演とは別に役者の身一つでの路上公演を長く続けていることも芝居の巾を広げ魅力になっているのでしょう。

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