Virtual Architecture | shikano yasushi atelier

移動する360度の視界を表現したムービー


 以前に「QuicTimeVRで出来ない事」というテキストを書いたことがあって、そのときに、QTVRでは撮影位置が固定なので移動して見回すことができない、ということを書いたのですが、移動しながら、なおかつ360度見回すことができる動画を見つけたので紹介します。

 
アジア航測という会社のサイトにあるLocation Viewというものです。
(MatrixEngineというプラグインが必要で、残念ながらMacに対応していません)
 車の屋根の上に撮影機材を載せて町中を走りつつ360度の視界で撮影された映像を見ることができます。想像はしていても実際にこういうものを見せられると、なるほど、という感じです。何がなるほどかと言うと、移動は車の動いたラインの上に限定され、そのラインから外れることができないので、ここまできても、自由自在にはならないのですね。実際の空間を撮影したものを元に自由自在なVRを作ることの限界をちょっと感じます。
 VR空間をつくる別のアプローチとしては、Google Earthの3Dモデルにリアルな画像がマッピングされてもっと高解像度になって、視点の高さ制限が解除されたようなものが想像できますが、いかがでしょうか。要はCGでモデリング、マッピングしてVR空間をつくることですが、こうした方法はマシンスペックなどハードやソフトの環境が向上すれば、結果も自ずと良くなると思いますが、自分で簡単に作れなさそうなところに、ちょっと不満を感じています。仕事柄、建築やランドスケープのモデリング、マッピングをして、パースやアニメーションを作ることもしていますが、結構な手間がかかりますし、もっと手軽にできるといいのに、と思うのです。
 道具が進歩するのは面白いし必要だと思うし、その道具を使わないと出来ない表現というものもありますが、自分がそれを使うかどうかは、結局、何を表現したいか、何を伝えたいか、そのためにどれだけ時間(経費)をかけられるか、などによって決まるし、逆に言えば、道具による成り行きのデザインはしないように、とも思っています。道具を使う技術も向上させないといけないので、そのための試行錯誤もしながら「何をしたいか」と「そのために何を使うか」ということのバランスをとることが重要だと感じています。
 写真はVR現場日記の建物、内部の検討用の模型です。一昔前は模型を作って検討するということがよく行われていましたが、最近はCGでシミュレーションすることも多いようです。でも、両方とも経験しているので感じるのですが、模型で分かることと、CGで分かることというのは、分かることの質が微妙に異なるのですね。向き不向きがあるというか。ここらへんのバランスも実は重要ですね。


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